今年4月に、インターネット広告のブランディング効果に関する調査の結果を、ビデオリサーチインタラクティブ、NTTレゾナント(goo)、Yahoo! Japan、当社(msn)の4社共同で発表しました。この調査自体は、約1年かけて、各サイトで展開されたキャンペーンを同じフォーマットで分析したものです。
以前から、オンラインメディアにおけるブランディング(到達〜認知による態度変容効果)という概念について、その効果をわかりやすく説明する標準的な数字を出したいという思いはありましたし、広告主のアドバタイザーズ協会からも、他のマスメディアと同じ土俵にたった、分かり易く使いやすい指標を出してほしいという要望もありました。TV、新聞に次ぐ媒体に成長した今は当然かとも思います。
我々の狙いは「クリック」に代わる新しい指標の創出です。これまではクリック率などが計測できればよかったのですが、ブロードバンド環境になってリッチ広告が盛んになってくると、それだけでは済まなくなってきました。
クリックに代わるもの、それを「ブランディング効果」として数値化したいというのが4社共同調査の大きな目的です。それが他のマスメディアと同じ土俵に立つということを意味します。どれだけ出稿したら、どれだけのターゲットにリーチし、認知や理解、購入意向などのブランディング効果が上がるのか、と。
調査結果は発表した通りですが、現在はそれを元に、他のマスメディア、特にテレビなどと比べて、効果、1認知を獲得するコスト効率はどうなのかというようなことを検討しています。直感的には、オンラインメディアを利用したキャンペーンの認知コストは非常に安いな、という印象です。
また、オンラインメディアはパーソナルメディアという側面も持っていますので、認知率、もしくは認知した人の中でのメッセージ理解率は非常に高いといえます。具体的な数値としては、認知した人の6割が内容を理解するという結果が出ています。
さて、この調査結果を眺めていて面白かったのが、ネット広告では最初に企業のロゴが出てしまうと結果はあまり良くないということです。例えばネットのバナー広告で、最初の方にロゴが大きく出るケースは、総じてパフォーマンスが悪いということがわかりました。
これはある意味「ネットらしいな」と思います。テレビでは番組のコマーシャルブレイクで、出合い頭のような形でCMが何本もどんどん出てきます。そうすると、もう15秒/30秒という時間的規制の中では目立つしかないわけです。どこまで目立てるか、かつそれがどこの企業のCMであるかも認知させなければいけないため、多くの場合、企業ロゴが入りますが、それと同じような作法でネット広告を作ると、実は効果が薄くなってしまいます。
つまり、ネット広告の冒頭にブランドロゴや企業ロゴを出してしまうと、受け手は入り口の時点で「私には関係ない、私の興味の分野じゃない」と判断してしまうと考えられます。そこで終わってしまって、その先をもっと見ようとしてくれません。
それはなぜでしょうか。おそらく、「モードの違い」が関係しているのでしょう。
テレビでは膨大なCMが一挙に、しかも見たいとは思ってない人に対して争うように露出してくるため、いかに目立つか、タレントで目を引くか、ブランドロゴを押し出すか、という手法に傾きがちです。それに対してネットは、ある種、TVと情報接収のモードが違っているのです。特定のパーソナルな目的を持ち、前向きに一人でメディアを訪問するため、自分の興味に率直な態度を取る傾向があります。
そのため、ネット広告においては、最初にロゴを前面に押し出してしまうと、入口でシャットアウトされてしまいます。大切なのは、冒頭では「あなたにも関係のある/興味のある分野のメッセージですよ」という情報を少し出し、逆にプッシュ型ではなくてプル型でユーザーの興味を引っ張ることです。情報があふれている現在、情報探索や視聴の主導権を持っているネットユーザーに対しては、「レレバンシー」(視聴者との関係性、興味、関心、パーソナル性)の高いメッセージをプル型で少しずつ出していくことがポイントのように思います。
「もう少し見てよう」という感覚を保たせるようなコミュニケーションが、おそらくパーソナルメディアであるネットで活きてくると思います。テレビCMと違い時間的制限はないですから、少しずつ引き寄せていくことも可能でしょう。
マイクロソフトでは今回の共同調査と同様に、リッチ広告(MOF:マウスオーバーフローティング広告)のブランディング効果をさらに高める調査を実施しました。その分析の結果、5つのルールにまとめてみました。
【クリエイティブ ゴールデン5ルール】 ※MOF広告のデモ事例
(マウスオーバー前>>注意を引いてマウスオーバーさせる)
1. 「えっ?!」と思わせる、シンプルで動きのあるアイキャッチ(4秒)
2. 「何?」と思わせて、マウスオーバーさせるストレートな文言
(フローティング画像>>興味を持たせる)
3. 「へぇ〜」と思わせる大容量・大画面を生かしたリッチコンテンツ
4. 飽きないテンポのよさ(5〜30秒)
(クリックをさせる)
5. 「もっと見たい!」と思わせるひと押しのメッセージ
このような視聴者のモードや気持ちに配慮したクリエイティブでリッチ広告を露出することで、先述した「クリック」だけの指標では計り知れないブランディング効果が得られるのです。
こういった作法の違い、視聴者のモードの違いを上手に考えてデザインすると効果が上がるのがネット広告の面白いところです。
追伸:先日、カンヌ広告祭に行ってきましたが、サイバーライオン(オンライン広告部門)での日本勢の活躍ぶりは素晴らしいものがありました。
下馬評の高かった「ユニクロック」は、ぶっちぎりでグランプリを獲得、MSNも企画に加わらせていただいたソニーのRecYouも堂々と金賞受賞、と日本のオンライン・クリエイティブのレベルの高さを世界に知らしめる結果でした。
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