米最高裁、特許付与に関する現行の法的基準を痛烈に批判

文:Anne Broache(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2006年11月29日 20時27分

 米最高裁判所は米国時間11月28日、特許権付与に関する現行の法的基準に異議を唱えたようだ。この法的基準については、多くのハイテク企業が、自明な発明の除去に役立っていないと主張している。

 この日、最高裁ではビジネス界の注目度の高い裁判の口頭弁論が開かれ、1時間ほど議論された。その中で、John Roberts最高裁長官は、連邦裁判所が特許の自明性を決する上で使用している既存のテストは、全く常識に基づいていないに等しいと指摘した。さらにAntonin Scalia判事に至っては、同テストについて「理解不能」や「無意味」とまで言い切った。

 Roberts長官はさらに、「(同テストは)法に焦点を当てるのではなく、問題をさらに複雑化させるものであり、無意味よりもさらに悪い」と指摘した。同テストは、特定の発明が「自明」とされる条件として、その発明につながる「教授、提案、動機付け」が過去に行われた証拠を要求している。

 この訴訟は、カナダのKSR International and Limerickと米ペンシルベニア州に拠点を置くTeleflexの間で生じた、自動車用アクセルの設計に関する不明瞭な特許紛争に端を発する。この訴訟では、特許法が抱える根本的な問題の1つが扱われている。その問題とは、ある発明、特に既存の部品を組み合わせた発明があまりに「自明」で、(特許による)保護に値しないとする根拠は何かという問題だ。そのため同訴訟は、特許に依存するハイテク企業、製薬会社、バイオテクノロジ会社などの注目を集めてきた。

 仮に最高裁が特許の「自明性」の法的基準をより厳格化する方向で改正する決断を下した場合、米国の知的財産法が改正されたり、価値に乏しい特許の数が減少したりするなど、影響が広範囲に及ぶ可能性がある。28日の口頭弁論は、この裁判で開かれる唯一の弁論だ。判決は、2007年7月に下される予定だ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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