出張に欠かせない超小型無線LANルータ――お気に入りガジェットバトン第5回

ホテルの有料ブロードバンド回線をシェアするにはルータが必須


 以前に比べて頻度は減っているものの、年に数回は海外に取材に出掛けている筆者。そして、その時に必ず持って行っているのが、手のひらにすっぽり入ってしまうほど小型の無線LANルータ、 D-Link「DWL-G730AP」だ。

D-Linkの超小型無線LANルータ「DWL-G730AP」。海外取材用としてアメリカでほどで購入した D-Linkの超小型無線LANルータ「DWL-G730AP」。海外取材用としてアメリカでほどで購入した

 海外取材に出かけるときは、オンライン媒体向けの速報記事を執筆することがほとんどのため、滞在先ホテルにブロードバンド接続環境が欠かせない。最近ではかなり多くのホテルでブロードバンド接続環境が用意されていることが多くなったことで、大容量のデジカメデータを高速に転送できるだけでなく、インターネットへの常時接続も可能となった。ブロードバンド回線の利用料は1日あたり$9.99ほどと安くはないが、仕事の効率や100Mバイトクラスのデータを転送することを考えると、利用しないわけにはいかない。

 ただ、そういった有料のブロードバンド回線を利用する場合には、1点だけ問題がある。筆者のように、フリーランスの立場の人間が海外取材に出掛ける場合、コスト節約のため1部屋を2人または3人でシェアすることが基本。しかし、全員がブロードバンド回線を使おうとすると、回線の奪い合いになるだけではすまない。接続したPCの数だけ接続料金が請求されてしまうのだ。

 ホテルのブロードバンド回線は、接続されたPCのMACアドレス単位での課金となるのが基本。もし何も考えずに3台のPCを接続して利用したら、1日あたり$9.99×3の利用料が請求されてしまう。そのため、海外取材時にはルータを持参し、全員で1本のブロードバンド回線をシェアするのが必須となる。また、有線での接続では何かと不便だったりするため、無線LANアクセスポイントがあればなお良い。そこで筆者は、数年前まで、海外取材時にはブロードバンドルータと無線LANアクセスポイントをスーツケースに入れて持参していた。

PCカードと比較すると、本体の小ささがよくわかるだろう。とにかく、持ち歩きが苦になることはない PCカードと比較すると、本体の小ささがよくわかるだろう。とにかく、持ち歩きが苦になることはない

 ただ、毎回ルータと無線LANアクセスポイントを持って行くのはめんどくさいし非常にかさばる。そこで、何かいいものはないかと思っていたときにアメリカの家電量販店「Fly's」で目に入ったのがこれだった。日本ではあまり馴染みはないが、ネットワーク機器メーカーのD-Link製の超小型無線LANルータである。買ったのは2005年3月、価格は$60ほどだった。

手のひらにすっぽり収まるコンパクトな無線LANルータ


 DWL-G730APの最大の特徴は、何と言ってもそのサイズだ。本体サイズは、幅60mm、奥行き80mm、厚さ17mm、重量は50gと、とにかく超小型で軽量。厚さはともかく、PCカードとほとんど変わらないぐらいの大きさだ。この中に、IEEE 802.11g対応の無線LAN機能とブロードバンドルータ機能が内蔵されているのである。一般的な無線LANルータのようなハブ機能は用意されていないが、ホテルの部屋の中で1本の有料ブロードバンド回線を複数のPCでシェアするという用途であればそれも気にならない。

ACアダプタだけでなく、USBから電源を取るケーブルも付属しており、電源が取れない場所でも利用可能だ ACアダプタだけでなく、USBから電源を取るケーブルも付属しており、電源が取れない場所でも利用可能だ

 また、本体が小型というだけでなく、付属のACアダプタもかなり小さい。しかも、USBバスパワーで動作させるためのケーブルも付属しており、いざとなればACアダプタすら不必要なのである。USBバスパワーで動作させられるということは、電源が取れない場所でも利用できることになる。やろうと思えば、PC内蔵の無線LANをWindows XPで共有させ、PCの有線LANコネクタにDWL-G730APを接続することによって、公衆無線LANサービスのシェアも可能となる。実際に、空港でのトランジットの待ち時間に活用したことがある。とにかく、持ち歩いて利用することを前提として設計されていると言ってもいいような無線LANルータなのだ。

 もちろん、小さいからといって機能が弱いこともない。DHCPサーバやNATなどの搭載はもちろん、無線LANのセキュリティ機能も、WEP/WPA-PSK/WPA2-PSK、MACアドレスフィルタリング、SSIDステルスなどをサポートするなど、十分な機能を備えている。設定はWebブラウザから行える。さらに、本体底面に用意されているスライドスイッチによって、無線LANルータだけでなく、無線LANクライアントまたは無線LANアクセスポイントとしても動作させられる点も特徴のひとつである。

付属のキャリングケースに、本体やACアダプタ、LANケーブルなどを入れて持ち運べるが、このケースが結構大きい 付属のキャリングケースに、本体やACアダプタ、LANケーブルなどを入れて持ち運べるが、このケースが結構大きい

 このように、DWL-G730APはいいことずくめの製品なのだが、残念ながら欠点もある。まず、本体とACアダプタ、各種ケーブルを収納できるキャリングケースが付属しているのはいいのだが、そのケースが結構大きい。本体サイズを考えると半分ぐらいの大きさでもいい気がするのだが……。あと、アメリカで買った製品なので、残念ながら日本での機器認証を受けておらず、日本では利用できない。まあ、国内では必要となることはほとんどないのが救いだが、かなり残念なのは間違いない。たまに使いたくなるのをグッとこらえて、スーツケースの中に入れっぱなしにしている。

 現在では、日本やアメリカ、ヨーロッパで認証を受けている超小型の無線LANルータが国内でも複数製品販売されている。そういった製品なら、国内やアメリカでの利用も全く問題ないので、国内・海外出張が多く、滞在先のホテルでブロードバンド回線の利用することがあるというのであれば、導入を検討してみてはいかがだろうか。

PCから家電までなんでもOK!
平澤 寿康氏プロフィール

 PC、ゲーム、白物家電と、いろんな分野に手を出している、節操のないテクニカルライター。発売日にどうにか買えたプレイステーション3だが、せっかく買ったにもかかわらず、全く使われずにラックで眠っている。もっとやりたいゲームが出てきてくれないと、買った意味がないです。お願いしますよSCEIさん(笑)

【使用製品】

型番 D-Link DWL-G730AP

購入時期 2005年3月 アメリカにて購入。

【お気に入り度合いを一言で表現してください】

海外取材時の必需品。とにかく小さくて軽いのがいいです。

【次回バトンを託すのは?】

石井英男さん

【次回の執筆者に一言】

モバイルやガジェットといえば、やはり石井さんです。いつも新しい ガジェットを持ち歩いていますし、きっと面白いものを紹介してくれる はずですよ。

【バトンRoundUp】

START第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) →第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) →第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) →第5回:平澤 寿康氏

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