「ゲーム+SNS+海外」の新境地目指すファン・メディア

 国際交流支援のネットサービスを展開するファン・メディアは、2006年6月設立した。

 「世界中の人々の生活を豊かにするユニークかつユーザーフレンドリなオンラインサービスを提供する」が事業コンセプト。独特なアイディアと技術を駆使し、世界の人々の生活を楽しく、明るく、より豊かなものにするためのコンテンツやサービス提供を目指している。

 同社の成り立ちは、現代表取締役最高経営責任者(CEO)である大沼大氏がサービスのモデルを描き、それをかつての上司である現取締役最高執行責任者(COO)である正田純二氏が合流して経営戦略を練るという形で始まった

 大手ゲーム会社出身である2人が考えたのは、人を夢中にさせるゲームの強みを取り込んだネットサービス。現在は、他国の文化や言語に興味がある世界中のユーザーを対象にしたソーシャル・ネットワーキングサービス(SNS)「Worldia」を運営している。

 Worldiaは無料で登録したメンバー同士が生活、文化、言語などについて情報交換を行い、サイトに実装されたオンライン通話機能で、直接メンバー同士が語りあうこともできる。さらに、語学講師としてメンバー登録をすれば、他のユーザーに有料オンライン語学レッスンサービスを提供することができ、受講メンバーは多種多様な言語やレッスン内容から自分にあったレッスンを手軽に安価で受講することができる。

 2007年12月上旬時点では、172カ国から9000人以上のユーザーが集まっている。

 大沼氏は「Worldiaを通して多くのメンバーが世界中から集まり、他のメンバーと仲間になって、日々の生活に根付いたものから文化や言語などに至るまでさまざまなテーマについて活発に交流して欲しい。今回実装されたレッスンシステムは、このコミュニティ内で、語学レッスンビジネスを始めたいメンバーとレッスンを受けたいメンバーを結び合わせるサービスで、両者にとって大きなメリットがある」と語る。

ゲーム業界への憤り

 大沼氏は1994年セガに入社。その後、ソニー・コンピュータエンタテインメント、エレクトロニック・アーツを経て、ファン・メディア代表取締役に就任した。

 ゲーム業界の最前線に身を置いていた大沼氏はこれまで、海外ゲームを日本向けにローカライズするなどが主な業務だった。その中でさまざまな国の人たちと仕事をすることが多く、どんなことでも世界展開を視野に入れた視点で物事を考えることが当たり前だったそうだ。

 当初からインターネットがインターナショナルであるのに対し、日本のサービスは国内向けが多いことに疑問を抱いていた。さらに、ゲーム業界では年々、開発費がかさむ大作ゲームをプロデュースする傾向に業界全体が進み、膨大な開発費を回収できる可能性が高い“続編モノ”などが増え、新しいチャレンジがしにくい状況になっていった。これに対して憤りのような感情を抱いていたこともあり、起業を決意したという。

 大沼氏によると、ユーザーを夢中にさせるための仕組みがゲームにはあるという。「ゲームは高度なコミュニケーションツールであり、ゲームのスコアリングシステムはよくできている。このゲームのノウハウはネットサービスにも応用することが可能である。高いゲーム性ときちんとした運営を行っていけば、必ずユーザーはついてくる」

インターナショナルであることの難しさ

 ただ、世界規模でユーザーを増やしていかなければならないこのサービスにおいて、どんなマーケティングを行っていくかは大きな課題として挙げられる。

 これについて大沼氏は「ターゲットは絞って行う。英語を母国語としているような人を対象にマーケティングをしています。また日本語を外人に教えたいという日本人や外国人の家庭教師を探しているといったニーズも調査から多いことがわかっているので、今後はこういった人たちをターゲットにした戦略を練っていこうと思っている」と語る。

 また、日本人は消極的な人が多いといわれている現状については「まずは積極的な人から利用してもらい。徐々に消極的な人たちにも利用していってもらいたい」とした。

 大沼氏は今後、オンライン語学レッスンにフォーカスしながらも、アフィリエイトビジネスやダウンロードコンテンツも視野に入れ、3年以内に1000万ユーザーを目指したいとしている。

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